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プレイ中のゲームに関する情報を処理する主なクラスとして、 Game Mode と Game State があります。
オープンエンド型ゲームでも基本的なゲームのルールがあり、こうしたルールが Game Mode を構成します。最も基本的なレベルとしては、以下のルールがあります。
-
現在のプレイヤーとスペクテーター (観戦者) 数に加え、プレイヤーとスペクテーターの最大許容数
-
プレイヤーのゲーム参加方法。スポーン位置と他のスポーン / リスポーンのビヘイビアを選択するためのルールを含みます。
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一時停止機能の利用可否と、一時停止の処理方法
-
ゲームをシネマティックス モードで開始するかどうかを含むレベル間の遷移
ゲーム内でルール関連のイベントが発生し、それをトラックし、全プレイヤーで共有する必要がある場合、その情報は Game State を通して保存され同期されます。こうした情報には以下が含まれます。
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ゲームをどれくらいの時間実行していたか (ローカルのプレイヤー参加前の実行時間を含む)。
-
各個人プレイヤーがゲームに参加した場合、そのプレイヤーの現在のステート。
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現在の Game Mode の基本クラス。
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ゲームが開始したかどうか。
Game Mode
プレイに必要なプレイヤー数や、プレイヤーがゲームに参加する方法などの一部の基本要素は、多くのゲームで共通であり、開発中のゲームに応じてルールを無制限に変化させることができます。こうしたルールがどんなものであれ、Game Mode はそれらを定義し、実装するように設計されています。Game Mode には現在一般的に使用される 2 つの基本クラスがあります。
Unreal Engine 4.14 では、
AGameModeBase
が導入されました。これはすべての Game Mode の基本クラスであり、従来の
AGameMode
を簡素化し、合理化したバージョンです。
AGameMode
は、4.14 より前の Game Mode の基本クラスであり、まだ存在し以前のように機能しますが、現在は、
AGameModeBase
の子になっています。
AGameMode
の方が、マルチプレイヤー シューティング ゲームなどの標準的なゲームで適しています。対戦ステートの概念を実装しているからです。
AGameModeBase
は新しいデフォルト ゲーム モードであり、簡素で効率が高いため、新しいコード プロジェクトに含まれています。
AGameModeBase
すべての Game Mode は
AGameModeBase
のサブクラスです。これには、オーバーライド可能なかなりの基本機能が含まれます。共通の関数として以下があります。
関数/イベント |
目的 |
---|---|
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これは任意のアクタが Game Mode インスタンスそのものを含む`PreInitializeComponents` を実行する前に呼び出されます。 |
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サーバーに参加しようとするプレイヤーの受け入れ、または拒否をします。
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ログインに成功すると呼び出されます。これは、
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これはプレイヤーのポーンのスポーンを開始するために呼び出されます。ポーンがどこでスポーンするかを指示したい場合は、
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これは実際には、プレイヤーのポーンをスポーンし、ブループリントでオーバーライドすることができます。 |
|
プレイヤーがゲームを離れるか、破壊される場合に呼び出されます。
|
AGameModeBase
クラスのサブクラスは、ゲームが提供する各マッチの形式、ミッションのタイプ、特殊ゾーンのそれぞれに対して作成することができます。ゲームにはいくつもの Game Mode を設定することができます。従って、
AGameModeBase
クラスのサブクラスをいくつでも持つことができますが、一度にひとつの Game Mode だけを使用します。Game Mode アクタは、プレイのためにレベルが初期化されるたびに
UGameEngine::LoadMap()
関数によってインスタンス化されます。
この Game Mode は、マルチプレイヤー ゲームに参加するリモート クライアントに対してレプリケートされません。サーバー上でのみ存在します。そのため、ローカル クライアントは使用されたストックの Game Mode クラス (またはブループリント) を見ることができますが、実際のインスタンスにアクセスし、その変数をチェックしてゲームの進捗に伴い何が変更されたかを見ることはできません。プレイヤーが現在の Game Mode に関する更新情報が必要な場合、
AGameStateBase
アクタに保存することで簡単に同期させることができます。このアクタのひとつが Game Mode と共に作成されて、すべてのリモート クライアントにレプリケートされます。
AGameMode
AGameMode
は
AGameModeBase
のサブクラスであり、マルチプレイヤーの対戦、レガシーのビヘイビアに対応するいくつかの追加の機能があります。すべての新規作成プロジェクトでは、デフォルトで
AGameModeBase
を使用しますが、こうした追加のビヘイビアが必要な場合、
AGameMode
から継承するように切り替えることができます。
AGameMode
から継承する場合、対戦のステートマシンもサポートする
AGameState
からもゲーム ステートを継承します。
AGameMode
には、Match ステートをトラックするステート マシンまたは一般的なゲームプレイ フローを含みます。現在のステートをクエリするために、
GetMatchState
や、
HasMatchStarted
、
IsMatchInProgress
、
HasMatchEnded
のようなラッパーを使用することができます。以下が考えられる Match ステートです。
-
EnteringMap
は初期ステートです。アクタはまだティックしておらず、ワールドは完全には初期化されていません。ロードが完全に終了すると次のステートへ遷移します。 -
次のステートである
WaitingToStart
に移ると、HandleMatchIsWaitingToStart
が呼び出されます。アクタはティックしますが、プレイヤーはまだスポーンされていません。ReadyToStartMatch
が true を返した場合、またはStartMatch
が呼びだされた場合、次のステートへ遷移します。 -
InProgress
はゲームの主要部分が起こるステートです。InProgress
に遷移すると、HandleMatchHasStarted
が呼び出され、これが全てのアクタにBeginPlay
を呼び出します。この時点で通常のゲームプレイが進行中です。ReadyToEndMatch
が true を返した場合、またはEndMatch
が呼びだされた場合、マッチは次のステートへ遷移します。 -
最後から 2 つめの次のステートである
WaitingPostMatch
に移ると、HandleMatchHasEnded
が呼び出されます。アクタはまだティックしていますが、新規プレイヤーは参加できません。マップ転送が開始すると、次のステートへ遷移します。 -
LeavingMap
は通常フローの最後のステートでありこのステートに入るとHandleLeavingMap
を呼び出します。遷移して `EnteringMap`に戻る新規マップに移動する間、マッチはこのステートのままです。 -
Aborted
は failure (失敗) ステートであり、AbortMatch
を呼び出して開始されます。修復不能なエラーがある場合に設定されます。
デフォルトで、 Match ステートはほぼ
InProgress
です。これは、
BeginPlay
が呼び出され、アクタがティックを開始するステートだからです。ただし、個々のゲームではこうしたステートのビヘイビアをオーバーライドしてより複雑なルールを持つマルチプレイヤー ゲームをビルドすることができます。他のプレイヤーがマルチプレイヤー シューティング ゲームに参加するのを待っている間、プレイヤーがレベルを自由に飛び回るなどが考えられます。
Game Mode ブループリント
Game Mode クラスから派生したブループリントを作成して、プロジェクトやレベルのデフォルトの Game Mode として使用することが可能です。
Game Mode から派生したブループリントに以下のデフォルト値を設定することができます。
-
Default ポーン クラス
-
HUD クラス
-
PlayerController クラス
-
Spectator クラス
-
Game State クラス
-
Player State クラス
さらに、Game Mode のブループリントは非常に便利です。コードを変更せずに変数を調整可能です。従ってひとつの Game Mode を複数のレベルに適応するために使用することができます。これには、ハード コーディングされたアセット参照の使用も不要で、エンジニアリングのサポートや微調整の度にコード変更する必要もありません。
Game Mode を設定する
レベルに GameMode を設定する方法は何通りかあります。優先度の低い方法から説明します。
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DefaultEngine.ini
ファイルの/Script/EngineSettings.GameMapsSettings
セクションにGlobalDefaultGameMode
エントリを設定すると、プロジェクトの全マップに対してデフォルトのゲームモードが設定されます。[/Script/EngineSettings.GameMapsSettings] GlobalDefaultGameMode="/Script/MyGame.MyGameGameMode" GlobalDefaultServerGameMode="/Script/MyGame.MyGameGameMode"
-
個別マップのプロジェクト設定をオーバーライドするには、エディタの [World Settings] タブで [GameMode Override] を設定します。
![](WorldSettings_GameMode.png)
-
ゲーム起動時にある特定のオプションを強制的に読み込ませるために URL を実行ファイルへ渡すことができます。ゲームモードの設定は
game
オプションを使用します。詳細は「 コマンドライン引数 」を参照してください。UE4Editor.exe /Game/Maps/MyMap?game=MyGameMode -game
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最終的に、
DefaultGame.ini
ファイルの/Script/Engine.WorldSettings/
セクションにマップのプレフィックス (および URL メソッドのエイリアス) が設定されます。これらのプレフィックスは、ある特定のプレフィックスを持つ全てのマップに対してデフォルトのゲームモードを設定します。[/Script/EngineSettings.GameMapsSettings] +GameModeMapPrefixes=(Name="DM",GameMode="/Script/UnrealTournament.UTDMGameMode") +GameModeClassAliases=(Name="DM",GameMode="/Script/UnrealTournament.UTDMGameMode")
Game Mode の設定例は、 Game Mode の設定 を参照してください。
Game State
GameState はクライアントがゲーム ステートをモニタできるようにします。概念上は、 Game State は接続している全クライアントに知らせることを意図した情報で、Game Mode に固有のものだが個々のプレイヤーには固有ではない情報を管理します。接続プレイヤーのリスト、Capture the Flag (旗取り) のチーム スコア、オープン ワールド ゲームで完了したミッションなどのゲーム全体のプロパティのトラックを続けます。
Game State は、プレイヤー固有のものをトラックするには適していません。例えば、Capture The Flag マッチでチームに対してあるプレイヤーがどれくらいの点を入れたかは、 Player State を使う方がうまく処理できるからです。通常、 GameState はゲームプレイ中に変化し、全員に関係があり、見えるものをトラックします。Game mode はサーバー上だけに存在しますが、Game State はサーバー上に存在し、すべてのクライアントにレプリケートされます。ゲームの進捗に伴い、すべての接続マシンを最新状態に保ちます。
AGameStateBase
は基本実装であり、そのデフォルト機能には以下のようなものがあります。
関数または変数 |
用途 |
---|---|
|
これは
|
|
すべての
|
|
|
AGameStateBase
は、ゲーム内で何が起こっているかをプレイヤーに知らせる目的で必要な変数や関数を含めるために、一般的に C++ またはブループリントで拡張されます。加えられる修正は一般的に、Game State が作られた対となる Game Mode に基づきます。Game Mode 自体はそのデフォルトの Game State タイプを
AGameStateBase
から派生した C++ クラスまたはブループリントにオーバーライドすることができます。