カラー グレーディングとフィルム トーンマッパ

シーンの色調整を行うトーンマッピングと色補正のエフェクトです。

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Unreal Engine では、カラー グレーディング (Color Grading) という用語は、トーンマッピング機能 (HDR から LDR への変換)、さらに High Dynamic Range 対応ディスプレイへの出力 および画像のさらなるカラー修正 (LDR カラーからスクリーン カラーへの変換) を意味します。

トーン マッピング

Tone Mapping (トーン マッピング) 機能の目的は、広範囲の HDR (ハイダイナミック レンジ) カラーを局所的な LDR (ローダイナミック レンジ) にマップすることによって、モニターでカラー表示を可能にすることです。通常のレンダリング後に実行される、ポストプロセス処理の最後のステージです。トーン マッピングのプロセスは、フィルムのライトに対する反応をシミュレートする方法だと考えてください。

Academy Color Encoding System (ACES) 標準のフィルム トーンマッパ

UE4 で使用しているフィルム トーンマッパは、テレビと映画に対して Academy Color Encoding System (ACES) が定めた産業標準に一致しています。これにより、複数のフォーマットやディスプレイの間で一貫した色を維持しながら、関係する媒体別の調整の必要がないため、ソース マテリアルを将来も有効に使い続けられるようにする方法にもなります。フィルム トーンマッパでは UE4 がこれまで使用してきたグローバル トーンマッパが引き続き使用されていますが、フィルム レスポンスが追加されたことで、S カーブの形状がフィルム ストックをうまくシミュレートされて全体的な外観が向上します。

ブルーム (Bloom) と露出レベル (Exposure Level) では、その違いをすぐに感じることができます。

物理的に正確なエミッシブとブルーム

エミッシブ値がすでに物理的に正確で、現実世界の色の光の動作と同様に、エミッシブ パワーが増加すると色も明るくなります。色にトーンマッピングを使用すると、最終的な色が明るすぎてフィルム / センサーを飽和し始めた場合に白くなります。

フィルムトーンマッパ | エミッシブ

従来のトーンマッパ| エミッシブ

この例では従来のトーンマッパと新しいフィルム トーンマッパを比較しています。Emissive Power を十分高い値にすると、従来のトーンマッパでは値が飽和してマテリアルの領域は詳細を失っていましたが、フィルム トーンマッパでは色が白くはり始めます。フィルム トーンマッパを使用すると、このシーンのブルームが物理的な正確さを維持し、飽和しすぎることがないため、反射する元のカラー値を維持していることがわかります。

露出レベル

露出レベルが物理的に正確だと、ディテールを失うことなく形状が維持されます。

Exposure_Default.png

この例では、色はもちろん、ラフネスとメタリックの値も様々なマテリアルを使います。[Exposure Bias] も「0」に設定されています。

フィルムトーンマッパ | Exposure Bias:3

従来のトーンマッパ | Exposure Bias:3

この比較では[Exposure Bias] を 3 にしたので、従来のトーンマッパの実装に比べてフィルム トーンマッパの反応がよく表れています。また、3 という値の意味は、上記の従来例に示されている 0 というデフォルト値よりも処理された画像が 8 倍明るいという意味です。

露出レベルの値が高くなるほど、フィルム / 従来のトーンマッパの違いが明確になります。フィルム トーンマッパの球は明るさを増したものの、カラーとシェーディングの形状は維持されています。従来のトーンマッパを使用した球は、色がシェーディングとブレンドされ始めています。球は単色で非常に明るくなりますが、露出値が高いかどうかは分かりません。一方でフィルム トーンマッパはこれを考慮します。露出値を上げると、フィルム トーンマッパは実際のカメラと同様の効果を出します。

従来のトーンマッパ

Unreal Engine 4.15 では、ACES 標準を使用しているフィルム トーンマッパはデフォルトで有効になります。この変更により、既存のコンテンツの外観に差異が生じる場合があります。従来のトーンマッパを除去に関して時間的な計画はありませんが、今後の Unreal Engine リリースのいずれかにおいて非推奨および除去されることになります。

Epic GamesLauncher の [Learn (ラーニング)] タブにある SunTemple サンプルプロジェクトを比較しています。これが平均的なシーンの違いです。

従来のトーンマッパ

フィルム トーンマッパ

プロジェクトで従来のトーンマッパによる外観を維持するには、ポストプロセス ボリュームを使用して [Film] セクションの以下の値を設定することを推奨します。

  • Slope: 0.98

  • Toe: 0.3

  • Shoulder: 0.22

  • Black Clip: 0

  • White Clip: 0.025

従来のトーンマッパ

従来のトーンマッパ値を使ったフィルムトーンマッパ

フィルム設定

ポストプロセス ボリュームの [Film] セクションにある ACES 標準のフィルム ストックに一致するプロパティを使って、シーンをトーンマッピングを行うことができます。これらのコントロールを調整すると、プロジェクトの他のタイプのフィルム ストックをエミュレートできます。

このプロパティは特定の外観に対してプロジェクト単位で使用し、動的またはショット単位での変更は行わないことを推奨します。その代わりに、芸術的な調整に対して カラーグレーディング を使用する必要があります。

ToneMapperProperties.png

  • Slope: トーンマッパに使用される S カーブの傾きを調整します。値が大きいほど傾斜が激しく (暗く) なり、低いほどなだらかに (明るく) なります。値の範囲は [0.0, 1.0]. [0.0, 1.0] です。*

    Slope:0.88 (デフォルト)

    Slope: 0.6

    Slope:0.88 (デフォルト)

    Slope: 0.6

  • Toe: トーンマッパの暗い色を調整します。値の範囲は [0.0, 1.0]. [0.0, 1.0] です。

    Toe:0.55 (デフォルト)

    Toe: 0.8

    Toe:0.55 (デフォルト)

    Toe: 0.8

  • Shoulder: トーンマッパの明るい値を調整します。値の範囲は [0.0, 1.0] です。

    Shoulder:0.26 (デフォルト)

    Shoulder: 1

    Shoulder:0.26 (デフォルト)

    Shoulder: 1

  • Black Clip: 黒クリップ - 黒が値のカットオフを開始するクロスオーバー部分を設定します。通常、この値は調節しては いけません。値の範囲は [0.0, 1.0] です。

    Back Clip:0 (デフォルト)

    Black Clip: 0.1

    Back Clip:0 (デフォルト)

    Black Clip: 0.1

  • White Clip: 白クリップ - 白が値のカットオフを開始するクロスオーバー部分を設定します。微妙な変化に表示される場合がほとんどです。値の範囲は [0.0, 1.0] です。

    White Clip:0.04 (デフォルト)

    White Clip: 0.2

    White Clip:0.04 (デフォルト)

    White Clip: 0.2

上記のようなリアルタイムのグラフで、他のトーンマッパの値をテストするには、設定済みデフォルトの UE4 トーンマッパ サンプル を使用することができます

色補正

Color correction (色補正) またはカラー グレーディングは、シーンのライト全体の色を変更または強化するために使用されます。HDR ディスプレイの出現により、処理前に色を保持する必要性が非常に重要になっています。処理前、元の色を維持することが最も重要になりました。

これまで色補正は、

[色対応表 (LUTs)](RenderingAndGraphics / PostProcessEffects / UsingLUTs)
を使って行われていました。LUT は LDR 内および sRGB 色空間のモニターに出力される最終画像の色になります。つまり、ディスプレイがサポートしているものに間に合わせているスナップショットなので、HDR ディスプレイ上の同じエフェクトに対して使用することができない点が問題です。この問題を解決するために、色補正コントロール は Scene Referred Linear Space で機能します。つまり、すべての色がトーンマッピング前にキャプチャされます。これにより、任意の色補正に対して、ある HDR ディスプレイ上の色を調整するだけで、HDR / LDR に関係なく、画像の出力先のすべてのディスプレイ上で正しい色に見えるようになります。

HDR パイプラインの概要および使用するメリットについては、「High Dynamic Range 対応ディスプレイへの出力」ページを参照してください。

色補正プロパティ

Post Process Volume の [Color Grading] セクションでは、シーンの美的な部分を制御することができるプロパティを見つけることができます。

設定

RGBColorWheel.png

HSVColorWheel.png

RGB

HSV

各セクションの下に、カラーホイールを使用して、カラー値を選択して、ドラッグアンドドロップすることができます。次のモードの中から選択することもできます。

  • RGB - Red (赤)、Green (緑)、Blue (青) の値を調整します。

  • HSV - Hue (色)、Saturation (彩度)、Value (明度) の値を調整します。

スライダーの値のより洗練された制御は、Shift キーのドラッグで可能です。

ColorGradingProperties.png

プロパティ

説明

White Balance

このセクションのプロパティは、白が本当の白に見えるようにシーンのカラーを調整するために使用されます。シーンの他のカラーが、シーンに与えられたライティングに正しくライティングされるようにします。

Temp

温度 - シーンのライトの温度に関連するホワイトバランスを調整します。ライトの温度とこれに一致するとライトが白く見えます。シーンのライトよりも高い値が使用されると、「暖かい」または黄色が、逆に低い値が使用されると、「冷たい」、青の色が出てくるでしょう。

Tint

色合い - シアンとマゼンタの範囲を調整してシーンのホワイトバランス温度色合いを調整します。理想的には、ホワイトバランス Temp プロパティを調整して、正確な値を求めた場合にこの設定を使用します。いくつかのライトの温度で色がより黄色または青に見えることがあります。このオプションを使用して、結果色がより自然に見えるようにバランスをとることができます。

Global

このセクションのプロパティは、シーン全体に使用できる色補正グローバルセットです

Saturation

表現される色 (色調) の強度 (純度) を調整します。彩度の値が高ければより (赤、緑、青) 原色に近いように表示され、彩度が低いと灰色が混じって濁りや色落ちしたように見えるようになります。

Contrast

シーンの明るい部分と暗い色の値の色調範囲を調整します。強度を下げるとハイライトが消えて画像が明るくなり色落ちしたように見えますが、大きくするとハイライトがタイトになって画像が全体的に暗くなります。

Gamma

画像の中間トーン輝度を調整して、より正確な色を再現しています。この値を下げ上げすると、画像が色落ちしたり非常に暗く見えるようになります。

Gain

画像の白 (ハイライト) 輝度を調整して、より正確な色を再現しています。この値を下げ上げすると、画像が色落ちしたり、非常に暗く見えるようになります。

Offset

画像の黒 (影) の輝度を調整してより正確な色を再現しています。この値を下げ上げすると、シャドウが色落ちしたり、非常に暗く見えるようになります。

Scene Color Tint

HDR シーンカラーに適用されたフィルタ色の倍数です。

Color Grading LUT Intensity

色補正エフェクトを制御するスケール引数です。

Color Grading LUT

色補正のために色対応表として使用する LUT テクスチャです。

画像をクリックしてフルサイズで表示

画像をクリックしてフルサイズで表示

画像をクリックしてフルサイズで表示

Neutral LUT

Greenish LUT

Reddish LUT

Shadows

このセクションのプロパティは、シーンの影の色補正値を調整するために使用されます。

Saturation

表現される色 (色調) の強度 (純度) を調整します。彩度の値が高ければより (赤、緑、青) 原色に近いように表示され、彩度が低いと灰色が混じって濁りや色落ちしたように見えるようになります。

Contrast

シーンの明るい部分と暗い色の値の色調範囲を調整します。強度を下げるとハイライトが消えて画像が明るくなり色落ちしたように見えますが、大きくするとハイライトがタイトになって画像が全体的に暗くなります。

Gamma

画像の輝度を調整して、より正確な色を再現しています。この値を下げ上げすると、画像が色落ちしたり、非常に暗く見えるようになります。

Gain

画像の白 (ハイライト) 輝度を調整して、より正確な色を再現しています。この値を下げ上げすると、画像が色落ちしたり、非常に暗く見えるようになります。

Offset

画像の黒 (影) の輝度を調整してより正確な色を再現しています。この値を下げ上げすると、シャドウが色落ちしたり、非常に暗く見えるようになります。

Shadows Max

Shadows セクションで調整された色補正プロパティに影響を与えるプロパティの乗数です。

Mid-tones

このセクションのプロパティは、シーンの中間トーンの色補正値を調整するために使用されます。

Saturation

表現される色 (色調) の強度 (純度) を調整します。彩度の値が高ければより (赤、緑、青) 原色に近いように表示され、彩度が低いと灰色が混じって濁りや色落ちしたように見えるようになります。

Contrast

シーンの明るい部分と暗い色の値の色調範囲を調整します。強度を下げるとハイライトが消えて画像が明るくなり色落ちしたように見えますが、大きくするとハイライトがタイトになって画像が全体的に暗くなります。

Gamma

画像の輝度を調整して、より正確な色を再現しています。この値を下げ上げすると、画像が色落ちしたり、非常に暗く見えるようになります。

Gain

画像の白 (ハイライト) 輝度を調整して、より正確な色を再現しています。この値を下げ上げすると、画像が色落ちしたり、非常に暗く見えるようになります。

Offset

画像の黒 (影) の輝度を調整してより正確な色を再現しています。この値を下げ上げすると、シャドウが色落ちしたり、非常に暗く見えるようになります。

Highlights

このセクションのプロパティは、シーンのハイライトの色補正値を調整するために使用されます。

Saturation

表現される色 (色調) の強度 (純度) を調整します。彩度の値が高ければより (赤、緑、青) 原色に近いように表示され、彩度が低いと灰色が混じって濁りや色落ちしたように見えるようになります。

Contrast

シーンの明るい部分と暗い色の値の色調範囲を調整します。強度を下げるとハイライトが消えて画像が明るくなり色落ちしたように見えますが、大きくするとハイライトがタイトになって画像が全体的に暗くなります。

Gamma

画像の輝度を調整して、より正確な色を再現しています。この値を下げ上げすると、画像が色落ちしたり、非常に暗く見えるようになります。

Gain

画像の白 (ハイライト) 輝度を調整して、より正確な色を再現しています。この値を下げ上げすると、画像が色落ちしたり、非常に暗く見えるようになります。

Offset

画像の黒 (影) の輝度を調整してより正確な色を再現しています。この値を下げ上げすると、シャドウが色落ちしたり、非常に暗く見えるようになります。

HighLights Min

Highlights セクションで調整された色補正プロパティに影響を与えるプロパティの乗数です。

その他

Blue Correction

ACEScg 色空間による「エレクトリック」ブルーのアーティファクトを補正します。明るい青は紫にならずに、彩度が低くなります。

Expand Gamut

sRGB 色域の外側にある明るい飽和食を展開し、広い色域の偽のレンダリングを作成します。

Tone Curve Amount

トーンカーブのエフェクトを下げることができます。トーンカーブが完全に無効にするには、Tone Curve Amount と Expand Gamut を 0 に設定します。

Scene Color Tint

カラー ピッカーを使ってシーンのカラー ティントを設定します。

Color Grading LUT Intensity

適用する色対応表 (LUT) の強度を設定します。0 に設定すると強度はありません。1 を設定すると最大強度が適用されます。

Color Grading LUT

使用する色対応表を割り当てます。

良い色補正を行うためのワークフロー

Post Process Volumeのカラーグレーディングツールの操作をしたときに備えておくと良い習慣がいくつかあります。

  • Film コントロールはプロジェクト全体の外観に対して設定する必要があります。理想的には、このプロパティは非常に絶対にショット単位または動的に調整できません。カラー グレーディング プロパティを使用してください。

  • Global 色補正プロパティの使用から開始して、最初の操作を終えたら、他のプロパティを使用して下さい。カラー グレーディング変更の大部分はこれらのプロパティを使って行われなければなりません。

  • シーンの露出を調整に Gain プロパティを使用するのはよくありません。このプロパティは他の色の微調整をするために使用します。Gain プロパティではなく、[Lens] > [Auto-Exposure] セクションの Exposure Bias を使用します。

  • 陰のある領域、あるいは暗い領域を少し明るくするには、Offset を少しだけ使用してください。対象を少しぼんやり見せる、またはブルームを増やすには、より高い値を設定できます。逆に、シーンが過度にかすんでいる、またはブルームが多すぎる場合は、値を下げてシーンから色を差し引くことができます。

シーンに色付けの 色対応表 (LUT) はトーン マッピングの後に行われることから、Color Grading プロパティを使って希望する外見を取得することで、出力先のすべてのディスプレイ (LDR と HDR の両方) で整合性が維持されます。ただし、まずは外見を取得して LUT でトーンを設定し、その後で色補正を調整して外見を似せるように習慣づけると良いでしょう。

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