このチュートリアルでは、Cloud Marketplace を使って Unreal Engine 仮想マシン インスタンスを Google Cloud に設定するための手順を説明します。
前提条件
Google Cloud アカウントとサブスクリプション
Google Cloud アカウントと、リソース作成のための 適切な権限 が付与されたプロジェクトへのアクセスが必要です。Google Cloud でのプロジェクトの作成または管理については、こちらのガイド を参照してください。
Unreal Engine は無料で利用できますが、Google Cloud を使用すると関連コストが発生します。お使いのアカウントが雇用主や他の関係者にリンクされている場合は、デプロイ用インスタンスをセットアップする前に、関連コストを引き受ける準備ができているかどうかをアカウント所有者に確認してください。
リモート アクセス
Unreal Engine のデプロイ先の Google Cloud インスタンスにアクセスするには、リモート アクセス アプリケーションが必要です。ここでは、Windows 10 のほとんどのエディションにインストール済みの状態で提供される Windows リモート デスクトップ接続 (「Windows RDP」) を使用します。
Google Cloud Console と Cloud Marketplace を使用する
Unreal Engine Image オファーが Cloud Marketplace でホストされています。UE5 の場合は こちらのオファー ページ に移動します。
Unreal Engine アイコンの下にある [Launch (起動)] をクリックします。
Unreal Engine VM のコンフィギュレーション ページが開きます。ここで VM を設定して作成します。また、右側にはコストの見積もりも表示されます。
仮想マシンを設定する
最初に デプロイメント名 (Deployment name) を入力します。
デプロイする タイムゾーン (zone) を選択します。デフォルトでは [us-central1-c] になります。
一部のタイムゾーンでは GPU の使用が制限されます。
[Machine family (マシン ファミリ)] では、デフォルトで選択されているマシン タイプは 16 vCPU と 60 GB memory を備えた n1-standard-16 になります。より多くの vCPU を備えたマシン タイプを選択すると、シェーダー コンパイルやライティングのビルドといった一部の UE 機能が高速化されますが、16 vCPU でも問題はありません。
この VM をデプロイする GPU を選択します。
[GPU type (GPU タイプ)] には、デフォルトで [NVIDIA Tesla T4] が選択されています。GPU のオプションは、前に選択したタイムゾーンに応じて異なります。
[Number of GPUs (GPU 数)] は 常に「1」に設定します。追加の GPU を指定すると、大幅なコストがかかるだけでなく、Unreal Engine で効果的に使用されません。
[Enable Virtual Workstation (NVIDIA GRID) (仮想ワークステーションを有効化)] チェックボックスを必ずオンにします。
[Boot Disk (ブート ディスク)] には、デフォルトで [Standard Persistent Disk (標準永続ディスク)] が選択されています。Google Cloud のブート ディスク タイプの詳細については、こちらをクリック してください。ブート ディスク サイズは上下に調整できますが、インストールしたアプリケーションとオペレーティングシステム向けに 200GB より大きく設定してください。
[Networking (ネットワーキング)] セクションはそれぞれのデフォルト オプションで十分なため、変更する必要はありません。
チェックボックスをオンにして GCP Marketplace の利用規約と Epic Games の利用規約に同意し、[Deploy (デプロイ)] をクリックします。
[Deploy] をクリックすると、[Deployment Manager (デプロイメント マネージャー)] ページにリダイレクトされます。ここに進行中のデプロイメントが表示されます。
デプロイメントが完了すると、適切にデプロイされたことを示す緑色のチェックマークが表示されます。
インスタンスに接続する
目的の VM にアクセスするには、[RDP] ボタンの隣にあるドロップダウン メニューを開きます。[Download the RDP file (RDP ファイルをダウンロード)] を選択して、ダウンロードした
.rdp
ファイルを開きます。.rdp
ファイルを開く際に、その発行元が不明であるという警告が表示されることがあります。その場合は、[Don't ask me again for connections to this computer (このコンピュータへの接続時には確認しない)] をオンにして [Connect (接続)] をクリックします。VM にすぐに接続できない場合は数分間待ちます。VM の接続の準備ができるまで、10 分ほどかかる場合があります。
接続が確立すると、ユーザー名とパスワードを求められます。Google Cloud のユーザー名がおそらく入力されていますが、必要に応じて [Use a different account (別のアカウントを使用する)] を選択して認証情報を入力します。オプションで [Remember me (このアカウントを記憶する)] をオンにします。
パスワードを取得するには、まず [Deployment Manager] ページに戻ります。ページの右側にある [RDP] のドロップダウン メニューを開き、[Set Windows password (Windows パスワードを設定)] を選択します。
新しい Windows パスワードを設定するようプロンプトが表示されます。最初にユーザー名を選択する必要があります。デフォルトではお使いの Google Cloud ユーザー名が使用されます。別のユーザー名にする場合はユーザー名を変更します。ユーザー名を選択したら [SET (設定)] をクリックします。
[SET] をクリックすると、新しい Windows パスワードが表示されます。このパスワードをクリップボードにコピーします。
このパスワードは今後一切表示されません。この VM でのパスワードのリセットを繰り返さないようにするために、このパスワードを安全な場所に保管するか、VM へのログイン後に新しいパスワードを選択してください。
このパスワードを RDP の認証フィールドに貼り付けて、[OK] をクリックします。
VM の証明書に関する警告が表示される場合があります。その場合は、[Don't ask me again for connections to this computer ] をオンにして [Yes] をクリックします。
Unreal Engine を起動する
数分後、Windows の起動画面が最初に表示され、続いて Unreal Engine の EULA が表示されます。該当するオプションを選択し、 [Verify EULA (EULA を確認)] をクリックします。この操作が必要なのは、インスタンスへの初回接続時のみです。
次に、Epic Games のログイン メニューが表示されます。Epic Games アカウントでログインします。
ログインすると、Unreal Engine と Epic Games Launcher を含むデスクトップが表示されます。ショートカットから Unreal Engine を直接実行することも、通常どおりに Epic Games Launcher を実行してログインし直し、コンテンツにアクセスすることもできます。
ランチャーへの初回ログイン時には、ランチャーの更新や、プロジェクト ファイルとエンジンとの関連付けを促すプロンプトが表示される場合があります。
コストの最適化
Google Cloud VM の使用中は時間単位でコストがかかります。そのため、インスタンスを使用しない際はインスタンスを停止しておくことをお勧めします。
VM を停止する
[Compute Engine – VM Instances] のページで、当該インスタンスの隣にある [⋮] (縦の 3 つのドット) ボタンをクリックしてメニューを開き、[Stop (停止)] を選択します。これは、家庭用や仕事用のコンピュータをシャットダウンするのと同様の操作です。実行中のアプリケーションはすべて終了されますが、永続ストレージに保存されたデータは維持されます。インスタンスが停止すると、インスタンスのハード ドライブに保存されたデータに対する少額の請求はあるものの、インスタンスの使用に対する時間料金を請求されることはありません。
停止した VM を再起動する
停止したインスタンスを再び起動するには、同じ VM インスタンス ページの同じ [⋮] メニューから、[Start/Resume (開始/再開)] を選択します。VM は数分後に RDP 経由で接続できるようになります。また、永続ストレージ ボリュームが復元されます。
VM を削除する
VM の使用を完全に終えて、リソースをクリーンアップしたい場合は、[Deployment Manager] ページ に戻って当該のデプロイメントを選択し、ページ上部にある [Delete (削除)] をクリックします。
当該のデプロイメントとすべてのリソースを削除するか、リソースは維持しながらデプロイメントのみを削除するかを尋ねるプロンプトが表示されます。