Unreal Engine の モデリング モード を使用すると、メッシュの作成、新しいレベル ジオメトリの迅速なプロトタイプ化、既存のスタティック メッシュ アセットの編集をすべてエディタ内で実行することができます。
このクイック スタート ガイドでは、モデリング モードを使ってこの松材の木箱を作成します。
このクイック スタート ガイドでは、モデリング モードのいくつかのツールを使った木箱の作成プロセス全体を説明します。最初にプリミティブ形状を新規作成し、いくつかの PolyEdit ツールを使ってディテールを加えます。次に、UV ツールを使ってテクスチャリングに向けて準備を整えます。最後にマテリアルを加えて、完全なコリジョンと物理シミュレーションを備えたレベルに木箱をドロップします。
前提条件のトピック
このクイック スタート ガイドを開始する前に、モデリング モードと Unreal Engine による 3D モデルの処理 について十分に理解しておくことをお勧めします。
モデリング モードの多くのツールは、他のモデリング ソフトウェアに搭載されているツールと似ていますが、モデリング モード エディタのメッシュ編集構造には、作業を始める前に把握しておくべき重要な違いがいくつかあります。
詳細については、「モデリング モードの概要」を参照してください。
1 - ボックス プリミティブを作成する
取り掛かる前に、「First Person Game (ファース トパーソン ゲーム)」テンプレートを使って新しいプロジェクトを作成します。Unreal Engine での新規プロジェクトの作成については、「新規プロジェクトを作成する」を参照してください。
[Select Mode (モードを選択)] ドロップダウン メニューをクリックして [Modeling (モデリング)] を選択し、[Modeling Mode (モデリング モード)] を開きます。これによって [Modeling (モデリング)] ツール パレット が開きます。
[Mode] ドロップダウンから [Modeling Mode] を開きます。
[Modeling] ツール パレットの上部にある [Shapes (形状)] メニューで [Box (ボックス)] をクリックし、ツールの詳細 パネルで各設定を調整して希望のサイズにします。このガイドではデフォルトの設定を使用します。これにより、デフォルト キャラクターのおよそ半分の高さの 100cm のボックスが作成されます。
Box ツールを使って、デフォルト設定でボックス プリミティブを作成します。
ビューポート 内をクリックしてボックスを作成し、画面下部の [Complete (完了)] をクリックするか、Enter キーを押します。
2 - 外枠を作成する
プリミティブ形状を詳細な 3D モデルに変換するための最初のステップは、その ポリゴングループ (PolyGroup) の定義です。
6 つの定義されたポリゴングループを含むボックス プリミティブ。
ビューポート内でボックスを選択します。[Modeling] ツール パレット の [Attributes (属性)] セクションにある [GrpGen] をクリックします。これによってボックスのポリゴングループが生成されます。
[Modeling] ツール パレットで [GrpGen] ツールを選択します。
このクイック スタート ガイドでは [Conversion Mode (変換モード)] と他の設定にデフォルト値を使用するので、ビューポート下部の [Accept (承諾)] ボタンをクリックするか、Enter キーを押します。
デフォルト設定を使ってポリゴングループを作成します。
[Modeling] ツール パレット の [PolyModel] ツール セクションにある [PolyEd] をクリックします。ツールの詳細パネルに PolyEdit ツールが表示されます。
[PolyEd] をクリックして、ツールの詳細パネルに PolyModel ツールを表示します。
ビューポート 内で一つの面を選択し、[Inset (挿入)] をクリックします。その面が次の画像で示されている分だけはめ込まれるまで、ビューポート内でマウスを動かします。
選択した面をはめ込んで、木箱の外枠を作成します。
再びマウスをクリックしてその面をはめ込みます。
作成した内面を選択して [Extrude (押し出し)] をクリックします。面を内側に押し出して木箱の外枠を作成します。
内面を内側に向けて押し出して、外枠の作成を完了します。この面は 5cm 押し出されました。
ビューポートでグリッド スナップが有効な場合、面を押し出す距離は、ビューポートで設定されている 位置グリッドへのスナップ の値と等しくなります。この設定を調整することで、編集プロセス時により多くの制御が可能になります。
木箱の面ごとにこの手順を繰り返します。下の面も忘れないでください。
3 - 追加のディテールを加える
次は、木箱の外枠に交差ブレースを加えます。
PolyEd ツールで、先ほど押し出した内面を選択して [Decompose (分解)] ボタンをクリックします。これにより、この面がそのコンポーネント三角形に分割されて、一方の隅からもう一方の隅までのエッジが作成されます。
中央の面で Decompose (分解) ツールを使うことで、その面が 2 つの三角形に分割されます。
作成された新しいエッジを選択します。Shift キーを押しながら、次の画像で示されているように、新しいエッジにつながっている各隅のエッジを選択します。
新しいエッジと、つながっている隅の 2 つのエッジを選択します。それらを傾けて、交差ブレースに使用する新しい面を作成します。
それらのエッジを選択した状態で、[Edge Edits (エッジ編集)] セクションの [Bevel (ベベル)] をクリックします。各設定はデフォルト値のままにして、メニュー上部の [Apply (適用)] ボタンをクリックします。これによってエッジが分割して、新しい面が作成されます。
ツールの詳細パネルの [Selection Filter (選択フィルタ)] セクションにある [Select Vertices (頂点を選択)] と [Select Faces (面を選択)] を無効にすると、個別のエッジを選択しやすくなります。
新しい面を選択し、それが外枠と同じ高さになるまで押し出します。
新しい面を外枠と同じ高さになるまで押し出して、交差ブレースを作成します。
これによって 2 つの内面が作成されます。押し出した交差ブレースの端にある面と、その内側の隅にある面です。カメラ ビューを木箱の内側に移動して、次の画像のように内側の各面を選択します。
カメラを木箱の内側に移動して、交差ブレースの端にある内面を選択します。
カメラを左下に移動して、隅の内面を選択します。
[Delete (削除)] をクリックするか Delete キーを押して、各面を削除します。
[Weld (結合)] ツールを使って、最後に選択したエッジの場所で 2 つのエッジを結合します。次の画像で示されているように、2 つのエッジを選択します。
カメラを木箱の外側に戻して、交差ビームと隅とが交わる場所にある 2 つのエッジを選択します。
[Weld] をクリックします。
内枠のもう一方の端でこの手順を繰り返します。
木箱の面ごとに同じ手順を繰り返します。
4 - UV をアンラップする
木材のテクスチャを正しく表示するには、木箱の UV をアンラップする必要があります。
元のボックス形状に大幅な変更を加えてきたので、[GrpGen] をクリックして木箱のポリゴングループを新たに生成します。[Min Group Size (最小グループ サイズ)] を「
3
」に変更し、次の画像にあるような、6 つの新しいポリゴングループ (面ごとに 1 つ) を生成します。ツールを使って 6 つの新しいポリゴングループを生成します。
[Accept] をクリックするか、Enter キーを押して続行します。
次に、メニューの [UVs] セクションから [Unwrap (アンラップ)] ツールを選択します。ツールの詳細 パネルの上部にある [Island Generation (アイランド生成)] ドロップダウンで [PolyGroups] を選択します。
ツールを使って木箱の UV マップを作成します。
[Texture Resolution (テクスチャ解像度)] の値を「2048」に変更します。これによって UV アイランド間のオフセットが変更されて、これらの間に十分な数のピクセルが存在することが確実になります。
[Texture Resolution] を「2048」に変更して、UV アイランド間に十分なスペースを生成します。
生成された UV マップを表示するには、メニューの [Preview UV Layout (プレビュー UV レイアウト)] セクションにある [Enabled (有効)] チェックボックスをオンにします。次の画像と同じような UV マップになるはずです。[Accept] をクリックするか、Enter キーを押して UV マップを仕上げます。
UV マップのプレビュー ウィンドウを有効にします。
最後に、木材のマテリアルを木箱に追加して、生成された UV マップの品質を確認します。[Details (詳細)] パネルの [Materials (マテリアル)] セクションを開き、[Element 0 (要素 0)] のドロップダウン メニューをクリックします。「M_Wood_Pine」マテリアルを見つけて木箱に適用します。
パネルで M_Wood_Pine マテリアルを追加します。
5 - 木箱をレベルに取り込む
スタティック メッシュ エディタ で 単純化されたボックス コリジョン を 追加し、物理シミュレーション を有効にすることで、木箱をレベルに追加する準備を整えます。
木箱のアセットを コンテンツ ブラウザ 内で見つけて、それを スタティック メッシュ エディタ で開きます。「
FirstPerson/Maps/_GENERATED/User
」フォルダに移動して、木箱のアセットをダブルクリックします。選択モードに戻って、木箱をスタティック メッシュ エディタで開きます。
スタティック メッシュ エディタ内にあるバージョンの木箱には、M_Wood_Pine マテリアルが適用されていません。[Details] パネルを通じてマテリアルをスタティック メッシュに追加した場合、そのマテリアルはスタティック メッシュのそのインスタンスのみに適用されます。スタティック メッシュ エディタ内で松材のマテリアルを適用すると、その後すべての木箱のインスタンスにこのマテリアルが適用されます。
[Collision (コリジョン)] メニューをクリックして [Add Box Simplified Collision (ボックス単純化コリジョンを追加)] を選択し、木箱に基本的なコリジョン ボックスを加えます。
[Collision] メニューを開いて [Add Box Simplified Collision] を選択します。
[Details] パネルの [Collision Complexity (コリジョンの複雑度)] セクションに移動します。ドロップダウン メニューを開いて [Project Default (プロジェクト デフォルト)] を選択します。
スタティック メッシュ エディタの [Details] パネルで [Collision Complexity] プロパティを [Project Default] に変更します。
エディタ のウィンドウに戻り、[Details] パネルで [Simulate Physics (物理シミュレーション)] を有効にします。
[Details] パネルで [Simulate Physics] を有効にします。
結果
このクイック スタート ガイドでは、モデリング モードのツールセットを使って、木箱のアセットをすべて Unreal Editor 内で作成しました。モデルにディテールを加え、UV マップと木材のマテリアルを追加しました。
最後に、この木箱のアセットをゲーム内で使用できるように、適切なコリジョン設定を加えて物理を有効にしました。
レベル内に配置された最終版の松材の木箱。