静的ライトの可動性

テクスチャにベイクされた事前計算ライティングは変更できないため、ランタイム時にライティングによる負荷が発生しません。

[Mobility (可動性)] が [Static (スタティック)] に設定されているライトは、ランタイム時に変更または移動することが一切できないライトです。これらは、ライティングがビルドされたときに Lightmass を使用して事前に計算されます。静的ライトは、レベル内のジオメトリに適用されるライトマップというテクスチャにそのデータが格納されます。ライティングのビルドが完了すると、その後は、これらのライトがパフォーマンスに影響を及ぼすことはありません。

[Mobility] が [Movable (ムーバブル)] に設定されているスタティック メッシュとスケルタル メッシュは、静的ライティングと完全には統合 (または融合) されません。ただし、ライティングのビルドが実行されると、ライティング データが ボリュメトリック ライトマップ または 間接ライティング キャッシュ に格納され、静的にライティングされた領域内でこれらの可動オブジェクトのライティングおよび接地に役立ちます。

静的ライトを 3 種類の Mobility プロパティで比較すると、品質は 2 番目に高く、可変性は最も低く、パフォーマンス上の負荷も最も低くなります。

ライトマップ解像度

静的ライトは Lightmass でライティング データを生成して、レベルごとに格納されるライトマップにライティング データを格納し、ライティングがビルドされたら、そのレベル内のジオメトリにライティング データを適用されます。

ライトマップではジオメトリに適用されるテクスチャにライティング データを格納するため、個々のアクタのサーフェスで適切なシャドウの詳細をキャプチャするためには、ライトマップの解像度を適切に設定することが重要です。次のいずれかの方法で、シーンのオブジェクトのライトマップ解像度を設定することができます。

  • スタティック メッシュ エディタ でスタティック メッシュ アセットを開き、その [Details (詳細)] パネルを使用して、使用されるあらゆる場所でアセットが使用するデフォルトの ライトマップ解像度 を設定します。

  • レベル エディタで Static Mesh アクタ を選択し、[Details (詳細)] パネルで、[Overridden Light Map Res (オーバーライドされているライトマップ解像度)] を有効にし、個々のアクタに新しいライトマップ解像度を入力します。このオプションは、オブジェクトをスケーリングして、オブジェクトのライトマップ テクスチャを周囲の他のオブジェクトと一致させる必要がある場合に、最も役立ちます。

以下の例では、低解像度のライトマップと高解像度のライトマップ解像度を比較しています。低解像度のライトマップは、高解像度のライトマップと比較して、詳細を正確にキャプチャしません。なお、高解像度では、テクスチャ データ用に必要なディスク スペースが増加し、シーンのライティングをビルドする際の処理に時間がかかります。

lightmap resolution 64

lightmap resolution 128

lightmap resolution 512

ライトマップの解像度:64

ライトマップの解像度:128

ライトマップの解像度:512

ライトマップの解像度はアセットごとに設定することも、レベル内のアクタごとにオーバーライドすることもできるため、静的シャドウを受け取るアセット間でシャドウの外観に一貫性があり、周囲のシャドウと適切に統合されていることが重要です。レベル エディタの [Lightmap Density (ライトマップ密度)] の表示モード ([View Modes (表示モード)] > [Optimization Viewmodes] ドロップダウン) では、ライトマップ テクスチャを生成する [Mobility] が [Static] に設定されたスタティック メッシュ アセットにタイリングされたパターンが表示されます。タイルは、シーン内の他のアセットとスタティック メッシュ アセットのライトマップ解像度に基づく現在のテクセル密度を表します。

この例では、床のテクセル密度は、シーンのオブジェクトの周囲のライトマップ解像度とあまり一致していません。中央のブロックが床と接している部分と、そのブロックとは異なり、床全体にシャドウがベイクされている矛盾点に注目してください。

lighting only view mode with built shadows

lightmap-density-view-mode

ビルド済みのシャドウを使用した Lighting Only (ライティングのみ) 表示モード

Lightmap Density (ライトマップ密度) 表示モード — 低床アセット ライトマップ テクセル密度

床のライトマップ解像度を上げると、テクセル密度が中央のブロックやシーンの他のオブジェクトにより緊密に一致します。なお、テクセル密度がより緊密に一致するようになったため、床とブロックの間でシャドウがさらに一貫性のあるものになりました。

lighting only view mode with built shadows

lightmap-density-view-mode

ビルド済みのシャドウを使用した Lighting Only (ライティングのみ) 表示モード

Lightmap Density (ライトマップ密度) 表示モード — 高床アセット ライトマップ テクセル密度

Lightmass の設定

静的ライトにはライトにある独自の設定と [World Settings (ワールドセッティング)] 内にある設定があり、レベル内での相互作用に影響します。

ライトごとの Lightmass 設定

シーン内で選択された ライト の [Mobility] が [Static] に設定されている場合、Lightmass カテゴリの以下の設定がライティングのビルドに影響します。

プロパティ

説明

Light Source Angle

このプロパティは、指向性ライトでは、エミッシブ サーフェスがレシーバーと相対的に拡大する角度を制御し、指向性ライトからキャストされるシャドウの半暗部のサイズに影響します。

Indirect Lighting Saturation

ベイクされたバウンス ライティングに適用される彩度低下量を制御します。

Shadow Exponent

シャドウ半暗部のフォールオフをコントロールします。

ワールド セッティングの Lightmass 設定

レベル で、[World Settings (ワールド セッティング)] > [Lightmass Settings (Lightmass 設定)] を使用して、ワールドでの静的ライティングの計算方法を設定します。ここでの設定は、現在ロードされているレベルのすべての静的ライトに影響します。

プロパティ

説明

Static Lighting Level Scale

実世界のスケールを基準としたレベルのスケール (1 センチメートルは 1 Unreal 単位に相当します)。スケール依存の Lightmass 設定のすべてのデフォルト値は、実世界のスケールに対応するように設定されています。スケールが異なるレベルは、このスケールを使用して補正します。たとえば、大規模なワールドでは、この値を「2」または「4」に設定すると、より大きなレベルのビルド時間が大幅に削減されます。より小さい値ではビルド時間が大幅に短縮されます。

Num Indirect Lighting Bounces

ポイント ライト/スポット ライト/指向性ライトに対してシミュレートする、光源からの光の跳ね返りの回数。0 は直接ライティングのみを生成します。最初のバウンスには計算に一番時間がかかり、仮想品質に一番寄与します。それに続くのがライトのバウンス 2 です。後続のバウンスはビルド時にそれほど影響はありませんが、マテリアル ディフューズ カラーが 1 に近い場合を除き、ビジュアルへの影響ははるかに少なくなります。

Num Sky Light Bounces

シミュレートするライトのスカイライトとエミッシブ バウンスの数。Lightmass はスカイライトのバウンスに分配可能ではないラジオシティ方式を使用します。そのコストはバウンス数に比例します。

Indirect Lighting Quality

この設定は、必要とするより高い品質を得る目的で、グローバル イルミネーション ソルバ サンプル数を増やすために使用できます。品質を高めて定義済みの間接シャドウを取得するときに、[Indirect Lighting Smoothness (間接ライティングの滑らかさ)] をある程度 (約 0.75) まで削減するために役立つことがあります。

この設定は、ライティングのビルド時に発生する可能性のある圧縮アーティファクト、UV シームまたはその他のテクスチャ ベースのアーティファクトには影響しない点に注意してください。

Indirect Lighting Smoothness

この設定は、Lightmass で正確な間接光を解決できない時は一部のライティング条件で実用的です。値 1 はさまざまなライティング条件に対して微調整されたデフォルトのスムーズネスです。3 など、値が高くなるにつれて間接光がより滑らかになりますが、間接シャドウの負荷と引き換えに詳細度は低下します。

Environment Color

空など、レベルの上半球を取り囲む一定のカラー ライトを表します。この光源は、現在は間接ライティングのようには反射せず、反射キャプチャが誤った輝度になります。代わりに、固定スカイ ライトを使用することをお勧めします。

Diffuse Boost

シーンのすべてのマテリアルのディフューズの影響をスケーリングします。

Volume Lighting Method

事前計算ライティングを Lightmass Importance Volume の全方向に使用する手法です。

  • Volumetric Lightmap: ライティング サンプルは、Lightmass Importance Volume 全体をカバーする適応グリッドで計算されます。ジオメトリ周辺では高密度なグリッドが使用されます。ボリュメトリック ライトマップは GPU 上でピクセルごとに効率的に補間されるため、動的オブジェクトおよび体積ベースのフォグへの正確な間接ライティングが可能になります。モバイルの場合、VPU 上で各オブジェクトの範囲の真ん中で行われます。

  • Sparse Volume Lighting Samples: ライティング サンプルは静的なサーフェス上に中程度の密度で配置され、Lightmass Importance Volume 内のその他の場所には低密度で配置されます。Importance Volume 外の位置では間接ライティングはありません。この手法は CPU 補間が必要なので、間接ライティング キャッシュを使い、レンダリング スレッド オーバーヘッドを加えて、動的オブジェクトごとに結果を補間します。ボリュメトリック フォグはこの手法による事前計算ライティングで照らすことはできません。

Use Ambient Occlusion

有効な場合、アンビエント オクルージョンがライトマップにベイクされます。

Generate Ambient Occlusion Material Mask

Lightmassによって計算されたアンビエント オクルージョンを格納するテクスチャを生成するかどうかを指定します。これらは PrecomputedAOMask マテリアル ノードからアクセス可能で、環境アセット上のマテリアル レイヤーのブレンドを行う際に便利です。

PrecomputedAOMask のみが必要である場合は、必ず DirectIlluminationOcclusionFraction および [Indirect Illumination Occlusion Fraction] を 0 に設定しておく必要があります。

Visualize Material Diffuse

true の場合、エクスポートしたディフューズ時間のみの法線の直接および間接ライティングをオーバーライドします。

Visualize Ambient Occlusion

有効な場合、アンビエント オクルージョン時間のみの法線の直接および間接ライティングをオーバーライドします。

Compress Lightmaps

ライトマップ テクスチャを圧縮するかどうかを指定します。ライトマップ テクスチャの圧縮を無効にすると、アーティファクトが削減されますが、使用するメモリとディスクのサイズが大幅に増加します。

Volumetric Lightmap Detail Cell Size

最高密度 (ジオメトリ周辺で使用) でのボリュメトリック ライトマップのボクセル サイズ (ワールド空間単位) です。これは、ビルド回数とメモリに大きく影響するので、慎重に使用してください。Detail Cell Size を半分にすると、メモリ使用量が最大 8 倍に増加します。

Volumetric Lightmap Maximum Brick Memory Mb

ボリュメトリック ライトマップ レンガ データに費やす最大メモリ量。高密度のレンガはこの制限を満たすまで破棄されます。ジオメトリから最も離れているレンガから最初に破棄されます。

Volumetric Lightmap Lightmap Spherical Harmonic Smoothing

球面調和関数のデリンギング中にボリュメトリックライトマップのサンプルに対して行うスムージングの量を制御します。高い指向性ライトを球面調和関数に格納すると、リンギング アーティファクトが発生し、反対側に予期しない黒い領域として現れます。スムージングで、このアーティファクトを減らすことができます。スムージングは、リンギング アーティファクトが存在する場合にのみ適用されます。0 = スムージングなし、1 = 強いスムージング (ライトの指向性はほぼ無し)。

Volume Light Sample Placement Scale

ボリューム ライティング サンプルが配置される距離をスケーリングします。ボリューム ライティング サンプルは Lightmass によって計算され、可動コンポーネントでグローバル イルミネーション用に使用されます。大きいスケールを使用すると、サンプル メモリ使用量が少なくなり、間接ライティング キャッシュの更新回数が減ります。一方、ライティング領域間のトランジションの精度が下がります。

Direct Illumination Occlusion Fraction

直接ライティングに適用するアンビエント オクルージョンの量。

Indirect Illumination Occlusion Fraction

間接ライティングに適用するアンビエント オクルージョンの量。

Occlusion Exponent

指数が高いほどコントラストが強くなります。

Fully Occluded Samples Fraction

完全なオクルージョンに達するために遮へいしなければならないサンプル数の割合です。

Max Occlusion Distance

別のオブジェクト上にオクルージョンを発生させるためのオブジェクトの最大距離。

Advanced Properties (高度なプロパティ)

Lightmaps

レベルに保存されている計算されたライトマップ テクスチャ。

Force No Precomputed Lighting

エンジンが必要としている場合でも、ライトマップと事前計算ライティングを強制的に作成しない設定にするかどうか。これは、レベルでの完全に動的なライティングやシャドウイングとのインタラクションを向上するうえで役立ちます。

この設定が有効な場合、通常は事前計算ライティングやシャドウイングのインタラクションが失われます。

Packed Light and Shadow Map Texture Size

パックしたライトとシャドウマップのテクスチャの最大サイズ。

このページは Unreal Engine の前のバージョン用です。現在リリースされている Unreal Engine 5.3 に対して更新は行われていません。
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