Unreal Engine 4 (UE4) には、完全な パス トレーサー を含む、レイ トレーサー の関連ツールが用意されています。このツールは グラウンド トゥルース というリファレンス画像の生成に便利です。パストレーサーは V-Ray や Arnold などで使用される他のオフライン レンダラと同様のものです。シーンに大量のレイを飛ばし、ピクセルをシェーディングするための光や色の情報を集めます。レイトレーシングはリアルタイム グラフィックスで有効であるのに対して、パストレーシングは使用できるサンプル数に制限がないことから偏りのないターゲット結果の生成に優れており、これがアルタイム レイトレーシング機能と比較すると優位な点です。
この比較で、現時点では一部のマテリアルやライティング エフェクトが完全にはサポートされていないことに注意してください。
アーティストやプログラマーにとって、偏りのないパストレーサーのグラウンド トゥルース画像は、エンジンですぐに作成して比較するために不可欠な存在です。また、比較結果を生成するためのサードパーティ ソフトウェアやプラグインは必要なくなります。アーティストは、マテリアルやライティングの設定を迅速かつ詳細に調整できます。プログラマーは、ノイズ除去などでリアルタイム アルゴリズムの表示を調整し検証するときのワークフローとイテレーション回数を改善することができます。
パストレーサーを使用する
パストレーサーを使用するには、まず前提条件に合っていることを確認し、リアルタイム レイトレーシング ドキュメントの「「プロジェクトのレイトレーシングを有効にする 」の手順に従います。
レベル ビューポート の [View Mode (ビュー モード)] ドロップダウンで [Path Tracing (パストレーシング)] を選択して、パストレーサーを有効にします。
パストレーサーはカメラが動いていないときにサンプルの追加を続けるプログレッシブ アキュムレーション法を使用します。適応サンプリングも使用して、大量のノイズを生み出すピクセルに対してレイを増やしてトレースします。
サンプリングするシーンやマテリアルの複雑さによりますが、一定時間経過した後に、最終的なシェーディング カラーでピクセルが描画されます。
[Rendering Features (レンダリング機能)] > [Path Tracing (パストレーシング)] の [Post Process Volume (ポストプロセス ボリューム)] で、光線が伝搬する距離に対応する [Max Bounces (最大バウンス)] および収束に使用される [Samples Per Pixel (ピクセルごとのサンプル)] 数を設定できます。
詳細については、「レイトレーシングの設定 」を参照してください。
追記
エンジン内のリファレンス パストレーサーを使用するときにさらに考慮が必要な点についていくつか次に示します。
追加のプロパティや調整可能な設定は、
r.PathTracing.*
コンソール変数にあります。パストレーサーの現時点の実装は、最終のピクセル レンダリングに対して、プロダクション対応の置換を実行するような機能やワークフローが欠けています。現時点の実装は、比較参照に最適です。
パストレーサーは、プログレッシブ ライト ビルド、シネマティック レンダリングなどのコンテンツ制作ワークフロー、さらに仮想現実 (VR) でのオーディオ シミュレーション、物理コリジョンと接触検出、AI など非レンダリング用途での活用を目指して研究開発が進められています。