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文字のエンコード
ドキュメントの概要:文字セット、および、Unrealによって使用された場合に起きるエンコード上の問題に関する概要 ドキュメントの変更ログ:作成者:Jack Porter、更新者:Jun Shimoda.はじめに
このドキュメントでは、Unrealで使用されるキャラクターのエンコーディングについて概説します。 あらかじめ必要となる知識:The Absolute Minimum Every Software Developer Absolutely, Positively Must Know About Unicode and Character Sets (No Excuses!)内部表現
Unreal Engine 3の文字列はすべて、メモリの中に、UTF-16フォーマットで、FStrings配列またはTCHAR配列として格納されています。多くのコードでは、2バイトが1コードポイントとして想定されているため、基本多言語プレーン(Basic Multilingual Plane: BMP)にのみ対応しています。そのため、Unrealの内部エンコーディングは、UCS-2として記述されるほうがより正確になものになります。文字列は、現在のプラットフォームに合うバイトオーダーで格納されます。 パッケージにシリアル化する場合や、ディスクにまたはディスクからシリアル化する場合、またはネットワークの送受信でシリアル化する場合は、0xffより小さいTCHAR文字はすべて、8ビットバイトの列として格納されます。それ以外は、2バイトのUTF-16として格納されます。シリアル化コードでは、必要に応じて、どのようなエンディアン変換も処理できます。UE3によってロードされるテキストファイル
Unrealが外部のテキストファイルを読み込むとき(たとえば、.INTファイルを実行時に読み込むときやUnrealScriptコンパイラがUnrealScript .ucソースファイルを読み込むときなど)は、ほとんどの場合、UnMisc.cppにあるappLoadFileToString()関数によって処理されます。主要な処理は、appBufferToString()関数で行います。 この関数は、UTF-16ファイルにあるUnicodeのバイトオーダーマーク(BOM)を読み取り、もしBOMがあれば、そのファイルをUTF-16ファイルとして、ビッグまたはリトルのエンディアンで読み込みます。 BOMが存在しない場合の動作は、プラットフォームに依存します。 Windowsでは、デフォルトのWindows MBCSエンコーディングを使用してテキストをUTF-16に変換しようとします(デフォルトのエンコーディングの例:米国英語および西ヨーロッパのバージョンではWindows-1252、韓国語バージョンではCP949、日本語バージョンではCP932)。また、MultiByteToWideChar(CP_ACP, MB_ERR_INVALID_CHARS...)が使用されます。これは、2009年7月ごろのQAビルドで追加されました。 変換に失敗した場合やWindows以外のプラットフォームの場合は、関数は単にそれぞれのバイトを読み込み、読み込んだものを16ビットにパッドすることによってTCHARの配列を作ります。 なお、appLoadFileToString()関数でロードされた、UTF-8でエンコードされたテクスチャファイルを検出またはデコードするコードはありません。Unrealによって保存されたテキストファイル
このエンジンによって生成されるテキストファイルの多くは、appSaveStringToFile()関数によって保存されます。 TCHAR型の文字がすべてシングルバイトで表されている文字列は、8ビットバイト列として格納されます。そのほかの場合は、bAlwaysSaveAsAnsiフラグがTRUEとならない場合にUTF-16として格納されます。その場合、まず、デフォルトのWindowsエンコーディング形式に変換されます。現在これは、シェーダファイルでしか実行されません。それによって、シェーダコンパイラがかかえるUTF-16ファイルに関する問題を回避することができます。Unrealによって使用されるテキストファイルに推奨されるエンコーディング
INT と INI ファイル
どちらかのエンディアンの UTF-16 です。アジア言語のデフォルト MBCS 文字コード (例:CP932) は Windows で動作しますが、これらのファイルは PS3 や Xbox360 で読み込まれる必要があり、変換コードは Windows でしか実行することができません。ソース コード
一般的に、C++ または UnrealScript ソース コード内の文字列リテラルを推奨せず、このデータは INT ファイルに入れることを推奨します。UnrealScript ソース コード
UTF-16、またはデフォルトの Windows 文字コードです。どちらの場合も、コンパイラは Windows で実行され、内部で UTF-16 でテキストを格納する Unreal パッケージを生成するので、日本語と韓国語の文字列リテラルとコメントは、正常に動作するはずです。デフォルト Windows 文字コードを使用した場合、これらの .uc ファイルは、異なるロケールを持つマシンでは動作しないことに注意してください。C++ ソース
UTF-8、またはデフォルトの Windows 文字コードです。MSVC、Xbox360 コンパイラ、gcc はすべて、UTF-8 で文字コードされたソース ファイルで問題ないはずです。例えば著作権、商標、「度」のシンボルのような高いビット セットの文字を持つ Latin-1 で文字コードされたファイルは、ソース コードでは可能な限り避けるべきです。これは、異なるロケールを持つシステム上で文字コードが壊れるためです。サード パーティのソフトウェアでのいくつかの事例は回避不可能 (例:著作権表示) なので、MSVC に関しては、警告 4819 を無効化します。これは、アジアの Windows でコンパイルを行う際に起こる警告です。Perforce での UTF-16 テキスト ファイルの格納
- 'Text' を使用 しない でください。
- UTF-x ファイルがチェックインされており、テキストとして格納されていると、同期後に破損します。
- 'Binary' を使用する場合、ファイルを排他的チェックアウトとしてマークしてください。
- ASCII、UTF-8、UTF-16 をチェックインすることができ、これはエンジンで動作します。
- しかしながら、バイナリ ファイルはマージすることができないので、ファイルが排他的チェックアウトとマークされていない場合、変更は無視されます。
- 'UTF-16' を使用する場合、UTF-16 でないファイルがチェックインされないようにしてください。
- 非 UTF-16 を UTF-16 としてチェックインすることを許可しないような Perforce トリガがあります。
- //depot/UnrealEngine3/Development/Tools/P4Utils/CheckUTF16/
- 非 UTF-16 を UTF-16 としてチェックインすることを許可しないような Perforce トリガがあります。
- 'Unicode' タイプは UTF-8 であり、これといった使い道はありません。
変換ルーチン
さまざまなコードから、またさまざまなコードへ文字列を変換する多くのマクロがあります。これらのマクロは、ローカル スコープで宣言されたクラス インスタンスを使用し、スタック上でスペースを割り当てるため、これらにポインタを維持させないことが非常に重要です。文字列を関数呼び出しへパスするのみに意図されています。- TCHAR_TO_ANSI(str)
- TCHAR_TO_OEM(str)
- ANSI_TO_TCHAR(str)
- TCHAR_TO_UTF8(str)
- UTF8_TO_TCHAR(str)
- typedef TStringConversion<TCHAR,ANSICHAR,FANSIToTCHAR_Convert> FANSIToTCHAR;
- typedef TStringConversion<ANSICHAR,TCHAR,FTCHARToANSI_Convert> FTCHARToANSI;
- typedef TStringConversion<ANSICHAR,TCHAR,FTCHARToOEM_Convert> FTCHARToOEM;
- typedef TStringConversion<ANSICHAR,TCHAR,FTCHARToUTF8_Convert> FTCHARToUTF8;
- typedef TStringConversion<TCHAR,ANSICHAR,FUTF8ToTCHAR_Convert> FUTF8ToTCHAR;
FString String; ... FTCHARToANSI Convert(*String); Ar->Serialize((ANSICHAR*)Convert, Convert.Length()); // FTCHARToANSI::Length() は、空文字を除いた文字コード文字列のバイト数を返します。
C++によるソースコードに関する注意事項のうち東アジア系言語のエンコーディングに特有のものに関する注意事項
UTF-8およびデフォルトのWindowsエンコーディングでは、C++コンパイラに以下のような問題が生じる可能性があります。 デフォルトのWindowsによるエンコーディングCP932(日本語)、CP936(簡体字中国語)、CP950(繁体字中国語)などの東アジア系言語のダブルバイト文字エンコード形式がソースコードに含まれている場合は、シングルバイト文字のコードページ(米国のCP437など)を使用して動作するWindows上でC++によるソースコードをコンパイルする際に注意が必要です。 これらの東アジア系文字のエンコードシステムでは、最初の1バイトには0x81から0xFEまでが使用され、2番目のバイトには0x40から0xFEまでが使用されます。2番目のバイトにおける0x5Cという値は、ASCII/latin-1ではバックスラッシュとして処理されます。バックスラッシュは、C++において特別な意味をもちます(文字列リテラル内ではエスケープシークエンスの意味。また、行末で使用された場合は、行の継続を意味します。)。
そのようなソースコードを、シングルバイトコードページをもつWindowsでコンパイルする場合、コンパイラは、東アジア系言語のダブルバイト文字のエンコード形式が無視されます。その結果、コンパイルエラーが起きるか、最悪の場合はEXEファイルでバグが発生します。 シングルラインコメントにおいて
東アジア系言語によるコメントに0x5cが入っている場合は、行の欠落が生じるために、発見するのが難しいバグやエラーが生じる可能性があります。
// EastAsianCharacterCommentThatContains0x5cInTheEndOfComment0x5c'\' important_function(); /* this line would be connected to above line as part of comment (この行は上の行とつながり、コメントの一部となってしまいます) */文字列リテラル内において
0x5cエスケープシーケンスとして認識するために、文字列の破損またはエラーが生じる可能性があります。
printf("EastAsianCharacterThatContains0x5c'\'AndIfContains0x5cInTheEndOfString0x5c'\'"); function(); printf("Compiler recognizes left double quotation mark in this line as the end of string literal that continued from first line, and expected this message is C++ code.");0x5cに続く文字が実際にエスケープシーケンスを指定する場合、コンパイラは、このエスケープシーケンス文字のセットを指定された1つの文字に変換します。
(エスケープシーケンスを指定しない場合は、動作結果は実装時の定義に依存することになります。ただし、MSVC(Microsoft Visual C++)では、0x5cが取り除かれ、"unrecognized character escape sequence" (エスケープシーケンスとして正しく認識できません)という警告が表示されます。)
上記の例では、文字列の最後に0x5cバックスラッシュがあり、次の文字がダブルクオーテーションマークです。そのため、このエスケープシーケンス「\"」は、文字列データの中で1つのダブルクオーテーションマークに変換され、コンパイラは次のダブルクオーテーションマークが出てくるか、ファイルの終わりに達するまで、文字列データが生成され続け、エラーが発生します。 危険な文字の例:
CP932 (日本語 シフトJIS)において、「表」という文字のコードは、0x955Cです。CP932では、多くの文字に0x5Cが入っています。
CP936 (簡体字中国語 GBK)において、「乗」という文字は、0x815Cです。CP936では、多くの文字に0x5Cが入っています。
CP950 (繁体字中国語 Big5)において、「功」という文字は、0xA55Cです。CP950では、多くの文字に0x5Cが入っています。
CP949 (韓国語 EUC-KR)は問題ありません。EUC-KRでは、第2バイトに0x5Cが使用されないためです。 BOMがついていないUTF-8 (エディタによってはBOMがsignature(シグニチャ/署名)と呼ばれる)
ソースコードで、東アジア系言語の文字がUTF-8として保存されている場合は、C++のソースコードを、CP949 (韓国語)、CP932 (日本語)、CP936 (簡体字中国語)、CP950 (簡体字中国語)の東アジア言語系コードページを使うWindows上でコンパイルする際に注意が必要です。 UTF-8文字エンコーディングでは、東アジア言語系文字の場合に3バイトが使用されます。0xE0から0xEFまでが第1バイトに、0x80から0xBFまでが第2バイトに、0x80から0xBFまでが第3バイトに割り当てられています。BOMが付いていない場合、東アジア言語系Windowsのデフォルトのエンコーディングでは、UTF-8でエンコードされた3バイトとその次に続く1バイトを、2バイトの東アジア系エンコード文字が2つあるものとして認識してしまいます。具体的には、第1バイトと第2バイトを合わせて第1の東アジア系文字として認識し、第3バイトとその後に続く1バイト分を2つ目の東アジア系文字として認識するのです。
問題が発生する可能性があるのは、UTF-8でエンコードされた3バイトに続く文字が、文字列リテラルにおいて特別な意味がある場合です。 (例) インラインコメントにおいて
コメント文を構成する東アジア系文字が奇数個あり、かつ、次に続く文字がコメント終了の記号である場合、コードが欠落してしまうため、発見しづらいバグやエラーが生じます。
/*OddNumberOfEastAsianCharacterComment*/ important_function(); /*normal comment*/東アジア系言語のコードページを持つWindows上では、コンパイラが、UTF-8でデコードされた東アジア系文字からなるコメントの最後に置かれた1バイトとアスタリスク(*)を、1つの東アジア系文字として認識し、その次の文字もコメントの一部として扱ってしまいます。上記の例では、コンパイラは、important_function()関数をコメントの一部として除去してしまうのです。
この動作はたいへん危険なものでありながら、同時に、この欠落したコードを発見することは難しいのです。 シングルラインコメントにおいて
バックラッシュ(\)が東アジア系言語によるコメントの最後に置かれた場合、行が欠落するため、発見が難しいバグやエラーが発生します。
// OddNumberOfEastAsianCharacterComment\ description(); /* coder intended this line as comment, by using backslash at the end of above line (プログラマは、上の行の終わりにバックスラッシュを置くことによって、この行をコメント化しています。) */これはとても珍しいケースです。なぜなら、プログラマは、コメントの最後にバックラッシュ(\)をあえて置くようなことをしないからです。 文字列リテラルの内部で
文字列リテラル内に奇数個の東アジア系文字があり、次に続く文字が特別な意味をもつ記号である場合は、文字列が破損してエラーや警告が発生します。
printf("OddNumberOfEastAsiaCharacterString"); printf("OddNumberOfEastAsiaCharacterString%d",0); printf("OddNumberOfEastAsiaCharacterString\n");東アジア系言語のコードページを使うWindowsでは、コンパイラが、UTF-8でデコードされた東アジア系文字からなる文字列で最後に置かれた1バイトとその次に置かれた1バイトを、1つの東アジア系文字として認識してしまいます。運よく、コンパイラ警告C4819(無効にしていない場合)やエラーによって問題に気がつくこともあります。そうでない場合は、文字列が破損してしまいます。 結論
UTF-8によるエンコーディングまたはデフォルトのWindowsによるエンコーディングを使用することはできますが、上記の問題について注意する必要があります。繰り返しになりますが、C++またはUnrealScriptスクリプト内で文字列リテラルを使用することは推奨しません。C++ソースコード内で東アジア系文字のエンコーディングを使用しなければならない場合は、必ず、デフォルトのコードページとして東アジア系のコードページを使用してください。
もうひとつ適切な方法としては、BOM付きUTF-8の使用があげられます。(BOMのことをUnicode署名としているテキストエディタもあります。) 注記
2010年2月18日に、UTF-8およびUTF-16に関していくつかのコンパイラでテストしてみました。
PC用およびXbox 360用のMSVCや、PS3用のgccまたはslcでは、UTF-8でエンコードされたソースコード(BOMありとBOMなしの両方)をコンパイルすることができました。 しかし、UTF-16(リトルエンディアンとビッグエンディアンともに)は、MSVCのみが対応しました。
Perforceは、UTF-16とUTF-8の両方で機能しました。ただしp4 diffコマンドは、UTF-8ファイルに含まれているBOMの文字を可視化してしまいます。 外部の参照先:Code Pages Supported by Windows